怒涛の帰国は講演ラッシュだった。約2週間で7回の講演に命を使って自分の言葉を繋ぎ続けた。 頭の片隅ではいつも ”ぁああ。こんなに人前で堂々と話す私は。直感で決めることのポリシーを話しているのに、恋愛に関してはなんて臆病なんだ・・・” そんな風に思っていた。
あっという間に一時帰国は終わる。
心も体も疲労でいっぱいで、風邪をひいてしまった私は箱ティッシュとゴミ袋を持ってプノンペンに帰ることになってしまった。熱っぽい、だるい状態。あっという間に乗り継ぎの上海にいた。
日本にいる間に付き合うとかどうするとか考えようと思ってたのに・・・。たくさんのアドバイスはもらったけど。忙しすぎて、結局「これだっ」て答えを決めきれなかったな・・・。
友達って選択するかもしれないし、付き合うかどうかもわからないと言ったのに、カンボジアを出国する時、空港まで迎えに行くねと言ってくれた彼。 数週間前の約束を覚えているんだろうか。正直、半信半疑でいた私。そういえば上海で乗り換えをするってこと。23時に着くってことしか伝えてない。
空港内のカフェでぼーっとしていると、なにか異様な雰囲気を感じた。空港内がざわついている。スタッフが真剣な顔で走り回っている。 英語のアナウンスと中国語のアナウンスなりっぱなし。一体どうしたんだろう・・・。
どうやら空港内で爆破事故があったらしい。 近くにいたノルウェー人が教えてくれた。 “えーっ!ちゃんと飛ぶのかな?”
フライトを確認しに行くとなんと2時間以上の遅れで飛ぶとのこと。心配してくれている日本の友達や家族には綾香が連絡をしてくれていたのだけど、空港で待つと言ってくれていた彼の連絡先を誰も知らない。
急いで彼に連絡を取ろうとしたけれど上海では残念ながらLINEもFacebookも繋がらない。しまった。彼と連絡が取れない。
お手上げだ。 でももう仕方ない。本当に迎えに来てくれるかどうかもわからないし。
熱がだんだん上がってくるのがわかる。寒気でゾクゾクする。 2時間待ったがさらに1時間の遅延が決まった。
もうしんどい・・・。鼻水は止まらないし顔はむくんで目も腫れてる。おまけにゲートはすごい人でごった返している。
ふらふらする頭、 もし迎えに来てくれていたらどうしよう・・・。 こんなにボロボロの状態で再会するの恥ずかしいな。英語力もそんなにない私、彼がどんな人だかいまいちわからなかった。真面目で誠実そうだけど、英語人の英語ってどこまで信じていいんだろう。
やっと飛行機に乗った。乗った後の記憶はない。機内食にも完全に気がつかず寝落ちした。 3時間遅れたらプノンペン到着は深夜2時を過ぎる。 もし来てくれたとしても、もう帰ったかな・・・。
深夜2時過ぎ。空港に到着する。 もうだめだ。本当に疲れた。スーツケースを引きずるので精一杯だ。もう歩きたくない。 もうこんな時間だ。約束の時間をとっくに過ぎてる。いるわけないか。
ここから家までか・・・。まだ遠いな。遅い時間だからタクシーもちゃんと道を指示しないとわけわかんないところに連れて行かれたら危ないな。
空港を出ると何人か出口で待っているのが見えた。 人だかりの奥からこっちに向かって誰かが手を振っているのが見える。
彼だった。 “なんでいるの?こんなに遅くなっちゃったのに・・・”
「ごめんね飛行機遅れちゃったの。上海で爆発事件があったの。でも連絡する方法がなくて、いっぱい待たせて本当にごめん!!」
「君のせいじゃないよ。」
「ずっと待っていてくれたの?」
「うん。君を待つ時間っていうのは幸せだったよ」
「・・・ありがとう。」
彼は笑顔だった。なんだろうこの安心感は。目の前の優しい笑顔に身体の緊張がほぐれた。
“もう。何も心配しなくていいや” そう思った。
背の高いバイクにまたがる。熱風が私を包み込んだ。月が綺麗だった。この国の自由な風が好きだ。
熱なの恋なのか。ときめきが、私の熱をさらに上げそうだった。振り落とされないように背中に捕まっていたら、彼の背中が暖かいことに気がついた。優しい温度だった。
家まで送ってくれた。 荷物持ってくれるのは嬉しいけど、部屋まで入ってきちゃったらどうしよう・・・。ちょっと困るな。。。でもずっと待っていてくれたし、お茶くらい出したほうがいいのかな・・・。
なにかお礼をしなくちゃ・・・。 そう思っていたのだけど彼は玄関まで荷物を持って来てくれて 玄関前ん荷物を置いてくれた。中には入ってこなかった。 ちょっと、安心した。
特に何も話さず、よく寝てね。
って颯爽とバイクにまたがり帰ろうとした彼を見た瞬間。
「愛は言葉ではなく行動なのよ。」
オードリー・ヘップバーンの言葉が突然頭に響いた。
何時に来るかわからない私を数時間も待っていた彼。 来ないだろうと疑った私。 それを幸せだと表現する人。 散々待たせたのに、なにも求めない彼。
私は彼の行動をがなんだかすごく愛しいと思えてしまって。
好きかどうか、まだわからないけど。 この瞬間、あなたが好きだと言いたくなってしまった。
この人の何が好きかなんてわからない。 でも、今言えなかったらもう言えない気がした。もう勢いだった。
“I need to talk to you!!!” 私あなたに言わなきゃいけないことがあるの!!!!!
勝手に声になって、想いが口から出ていた。気がついたら叫んでいた。
“If you’d like…. I wanna be your girlfriend.” もし良かったら。私で良かったら。 ・・・あなたの彼女になりたい。
彼はバイクを降りて一言 “Cooooool” 最高!
といって抱きしめてくれた。
188cmの彼が143cmの私を包む。 覆いかぶさってしまうような大きなハグ。 きゃーっと後ろに倒れそうになる私の体重もまるごと全部包まれた。
“It’s very beautiful night. Sweet dreams.” 美しい夜だね。 おやすみ。
熱なのかなんなのか。もうわからない。クラクラしてしまった。
その美しい夜
恋するfly maiが始まった。
続き 恋するflymai season2 http://flyhigh-mai.com/2016/09/23/ネイルの奇跡%E3%80%80恋するfly-mai-season2/
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